ブレーキキャリパーオーバーホール

 

今回はブレーキのオーバーホールです。

対象は国産車のほとんどのフロントブレーキに採用されているディスクブレーキシステムのブレーキキャリパーです。


こちらはQNC21トヨタbBのフロントのキャリパーです。

フローティングキャリパーという方式で、片方についているピストンがブレーキ液によって押し出され反対側のブレーキパッドを引き寄せつつ、ピストン自身もブレーキディスクにパッドを押し付ける事で車が転がる力を摩擦によって止めて熱に変換して放出する仕組みです。

スポーツタイプの対向2PODなどはフローティング機構が廃止され、両側からピストンがせり出てくる物、中にはパッドの面圧を均一にする為に4POD、6PODなども存在します。

このブレーキキャリパーはピストンの周りにぐるりとブレーキ液が漏れないようシールパッキンというゴムの輪っかがついているのですが、これが劣化するとブレーキ液の漏れやブレーキの引きずりが起こりやすくなります。

液漏れは稀ですが、ひきずりが起こった際はマスタシリンダーの戻り不良かこのキャリパーのシール不良が原因です。

ブレーキペダルを離した際に捻じれたゴムが元に戻る力を利用してピストンをパッドから引き離す働きも兼ねているこのシールパッキンが劣化するとピストンが戻りにくくなり引きずりを起こします。

今回は引きずりがひどかったのでピストンも新品に交換します。

 

シリンダー内のホーニング処理、グリスアップ、シールパッキン取付、ピストン取付、ダストシールを組み付けてオーバーホール完了です。

新品の銅ワッシャでブレーキホースとキャリパーを繋いでパッド・キャリパーを取り付けてエア抜きして終了です。

ピストンの動きがなじむまではペダルタッチがフワフワするので追加でエア抜きなどされませんように。

ダストシールの組付けが難関なのとエアブローでピストンを取り外す作業、ブレーキ液のエア抜き作業などプライベーターではちょっとやりづらい項目が多いのと重要保安部品であるので命にかかわる責任が付きまとう作業になります。

 


 

ブレーキのトラブルは命に関わります。きちんと点検する事で未然に防ぐ事ができます。

点検は健康診断のようなものです。致命的な故障になって余計な部品まで共倒れするよりは点検に出して被害を最小限に食い止めた方がよいかも知れませんね。

私の場合は異音やトラブルが出てから交換する分際ですが。

この他にもブレーキの異音(キーとかゴー)、効きが悪い、ペダルを踏んだ時にゴムが擦れるようなギュとかキュッっという音がする、サイドブレーキの効きが悪くなってきた、ブレーキからの異常な発熱や煙が出る等様々なトラブルがあります。

おかしいなと感じたらそれは必ずどこかに原因があります。

 

 

中部運輸局認証工場のおはぎ自動車でキャリパーのオーバーホールもお任せです。





2017年09月20日