GDA(GDB)インプレッサ クラッチ交換


今回はインプレッサのクラッチ交換です。

どの型式も基本的には同じ作業です。

初代GC8からGDBインプレッサに至るまで交換方法はほぼ変わっていません。

簡単な作業で全型式同じ作業ならまだしも、このインプレッサという車。

クラッチ交換が並じゃないです。チューニングショップも黙り込むこの車のクラッチ交換をすこーし写真をまじえて紹介します。

 

インプレッサの何が面倒くさいかと言いますと、まず外す部品点数が他車のクラッチに比べてやたらと多い。そして、みんなが嫌がる最大の理由がボルトの位置や取付のクリアランスがエゲつないというところ。

こればかりはやってみなければわかりません。道具の豊富さとそれを操る技量とセンスが問われます。

 

まずはインタークーラーを外します。

画像はインタークーラーを外したところです。

ピッチングストッパー、クラッチオペレーティングシリンダー(写真はGDAインプレッサなのでプッシュ式)、スターターとスターターの配線、ミッションから出ているバック信号のカプラーなんかも外します。






次にドライブシャフトを外さないとミッションが抜けないのでナックルをずらしてドライブシャフトをナックルから抜きます。

ロアアームを外すのが主流ですが、私はいつもストラットとタイロッドを外します。どうせロアアームは固着してなかなか抜けないのでこっちのが早いです。

車速センサーを外すのだけは忘れずにやってます。

 


プライバー(バール)を使ってFドライブシャフトを引っこ抜きます。

初代インプはここにピンが入っていて、ピンポンチが無いと引っこ抜けずひと手間余計にかかります。

ステアリングのユニバーサルシャフトも外しておきます。外さなくても出来る人は出来ると思いますが非常に邪魔なのでいつも抜いてます。

ラック側はスプラインの位置にマークを付けておかないと後で非常に後悔します。

 

そして、整備士達がインプレッサを嫌がる原因になっているタービンのサーマルプロテクターを外す作業です。何度やってもイヤ。

何の変哲もないプロテクターですが、これを外すのにいつも1時間以上くらいかかります。

もうちょっと何とかならなかったんですかねスバルさん。初代の頃から10年以上めんどくさいままなんですが…。

ブレーキフルードのリザーブタンク側にあるボルトはボディとの隙間が10cmも無いうえ、タービンの熱で固着していて錆びていて・・。下手すれば道具も滑る、緩んでも錆びてるから手で回らない、そもそも狭すぎて指がボルトまで届かない。

結局長目の10mmのメガネでセコセコやるのが一番早かったりします。

プロテクターを外してタービンと触媒のフランジボルトを外せばほぼ終わったようなモンです。

ちなみにプロテクターは下にも横にも3枚もついてます。もうイヤになります。フランジのボルトナットも熱で固着し、ナメやすくなっているうえ道具も掛けにくく最悪です。

触媒とターボがなければもっと簡単だったろうに…。というか開発の段階でもっとやり方あったでしょうに…。日産といいスバルといい、設計屋さんと整備士には何か確執でもあるんでしょうか?

 

 

触媒が外れたとこです。

ミッションとエンジンを直結しているボルトを抜く為にここまで外す必要があります。

助手席側にはスターターぐらいしか外すものはありません。運転席側のみ鬼門です。

 

 

プロペラシャフトを外し、マフラーの中間パイプを外して、シフトリンケージ、ミッションマウントを取り外したらミッションのボルトを引っこ抜いていよいよ切り離しにかかります。

ノックピンがガッチリ固着しているので毎度なかなか抜けてくれません。

いつもスクレイパーを叩き込んでます。

 

はい、切り離しました。

インプはGC8だった頃の5速ミッションの場合は割と簡単に持ち上がります。

6速ミッションは非常にしんどいです。若くないのかしら・・・

 

 

 

ミッションのメンドラです。メインドライブシャフトだからメンドラ。

クラッチが擦れる時に出たダストでひどく汚れておりますので、まずはきれいにします。

 

 

あんまり綺麗になってないけど良し!

 

こちらはクラッチフォークとレリーズベアリングです。

フォークは摩耗が進んでいなければ再使用。レリーズベアリングは毎回交換がベター。ご覧のあり様です。クラッチダストでグリスが切れて悲惨な事になっております。やはりハウジングの清掃は必要ですね。

 

クラッチディスクの摩耗ですが、リベットまで削れてしまっています。

フライホイールにもキズが入ってしまっていますが、今回はフライホイールは再使用です。

 

クラッチカバーです。外した方は焼けが出てしまってますね。

新品は錆び防止の為に油が塗ってある事もありますので脱脂してサっと組み付けます。

センター出しツールでクラッチのセンターをしっかり決めて一発で決めます。

ミッションをエンジンにドッキングする時、エンジン自体を少し傾けてあげないとミッションが嵌まりません。

ミッションジャッキのほかにエンジンリフターなどがあると便利かも知れませんね。

 

クラッチをエンジンにくっつけた時点で(写真は古いやつ)ようやく半分が終了です。

ここから逆再生のように元に戻していきます。

 

最後の最後でなかなかハマらないインタークーラーのこのパイプですが、エルボの角にいかにも押して下さいというような硬いモノがついていますのでこのようにバールなどで押し込んでやると比較的嵌めやすいです。私はいつも潤滑材と併用して組み付けしていますが、いつも思い出さずにつまずくポイントです。最初にやった時はこれだけで一時間半ぐらい格闘していました。

 

そんなわけでして、インプレッサのクラッチ交換はとにかく大変なんです。

標準点数作業も8点越えですので当店のレバレートでも45000円くらいです。








2018年12月01日